2006年05月30日
川俣晶の縁側技術関連執筆情報 total 3944 count

実践Web 2.0論 Web 2.0を第二のネットバブルにしないための警告の書

Written By: 川俣 晶連絡先

 4月いっぱい、ヘロヘロになって書き下ろした本です。

 2006/06/27発売予定ですが、Amazonでは既に予約できます。

対象読者 §

 基本的にはビジネス書であって、技術解説書ではありません。

 対象読者は技術者ではなく一般の人々です。

 やたら手間を食って、しかもマニアから突っ込まれまくるリスクがあって、しかも金にならない難しい最新技術の解説よりも、もっと一般向けの本を書きたい……という希望を持っていましたが、それがやっと叶えられました。

アスキーからの2冊目 §

 ちなみに、アスキーから出す本はこれが2冊目となりますが、過去に付き合いのあったアスキー社員は一人もアスキーに残っていません。今回の本の企画を持ってきてくれた有り難い編集者の方は、昨年から全く新規にお付き合いを始めた方です。そういう新しい付き合いから、新しいジャンルの本を出していけるチャンスが得られたのは興味深いと思います。

企画趣旨 §

 最初に断っておくと、この書籍の企画は私が提案したものではなく、私のところに持ち込まれたものです。

 自分からWeb 2.0の本を書こう……と言ったわけではありません。

 また、数年前にベストセラーになった「バカの壁」という書籍の「バカの壁」という概念でWeb 2.0に切り込むという構想も、何か他のWeb 2.0本と差別化する要素が欲しいということで、「バカの壁なんてどうでしょう」とその場の思いつきで言ってみたら通ってしまっただけで、強くそれを主張すべきと思っていたわけではありません。

 その後、「バカの壁で読み解くWeb 2.0」という感じで目次案を書いてみたわけですが、この時点ではまだ強い思い入れなどはありませんでした。

これは画期的だ! §

 しかし、いざ書き始めてみると、これはとんでもない本だということが明らかになってきました。自分で書いた目次案通りに書いたわけですが、「バカの壁」というのはコミュニケーションの断絶ということであって、自分で考えていたいろいろな事柄と直接的に関わります。必然的に、ミームやコンテキスト(文脈)という言葉も重要な意味を持って出てきます。

 ちなみに、ミームという言葉は、Web 2.0を解説した歴史的な文書にも出てきます。この用語を取り上げて解説することは悪いことではないでしょう。

 実際、私の(似非)思想家としての思想面の一部を書籍に反映させることができたという意味で、非常に意義深いと思います。それと同時に、書くことでより的確にWeb 2.0というものの価値、意義が理解できたことも自分にとって価値が大きかったと感じます。両者は予想以上に上手く噛み合って、私自身がいかにこの先の未来を進むべきか、道が見えてきた感じもあります。つまり、この本に書かれたことは、単なる他人の受け売りではなく、自分のものとして消化した上での解釈です。それゆえに、受け売りだけの本と比べて、踏み込みは2歩も3歩も深いのではないかと(勝手に)予想します。

80%は出ないと思っていた §

 Web 2.0の価値の素晴らしさを分かりやすく示すということは、Web 1.0あるいはITバブルのダメな部分を明確に示すという手順を必然的に含まざるを得ません。

 書きながら、「これは出版できないよな……」と本当に思っていました。Web 1.0時代の様々なメンツを潰しまくっているのに等しいわけですから。

 ですから、「これは出版できません」と言われることを80%ぐらい覚悟しつつ書いていました。いや本当に、それぐらいの気持ちで書いていました。

 しかし、こうして出版にこぎ着けたのは、本当に画期的だと思います。

削った部分は多い §

 ページ数の都合上、削った原稿はかなりの量になります。

 それゆえに、一部分かりにくい部分、論旨が飛躍しているように感じられる部分があるかもしれません。

 しかし、その分だけコンパクトで一気に読める本になたと思います。

だが本はまだ未完成なのだ §

 著者として行う最終のゲラチェックはまだ終わっていません。

 まだできていない本について語ってしまうのも妙な気分ですね。